日本で
「薄毛に効く」とうたわれるヤッカのシャンプー。
ナヴァホでこのシャンプーを使うのは、
老齢の女性たちがほとんどです。老齢の女性の中でも、水道設備が完備されていない地域に住み、井戸水を使う
伝統的な生活を営む人たち。同じ環境に暮らしていても
老齢の男性はヤッカのシャンプーを
使わないようです。
この差はジェンダーの問題というよりは、
経済的、実用的な理由と思われます。辺境に住む年配の女性は髪を長くのばしているのに対して、男性は短かめに刈り込んでいる。髪の長い女性が市販のシャンプー&リンスを使うのは経済的ではありません。洗髪のために貴重な水資源をジャブジャブ使うわけにはいきませんから。それに、
昔ながらの技術を大切にする人も多い。だから、老齢の女性は少し手間がかかっても、ヤッカのシャンプーを使うようです。
男性は髪が短かめなので、手間ひまかけてヤッカのシャンプーを用意するよりも、髪を水でサッと流すか、市販のシャンプーで洗った方が効率的。そんな雰囲気でした。
もちろん、ジェンダーも多少は考えられます。
男性がシャンプーのためにヤッカの根を掘って手間と時間をかけると
「髪が短いのに、女みたいにおしゃれしてる」
とからかわれてしまうかも。
でも、ナヴァホは
母系社会のせいか、男性たちは日本の男性ほど
「男の沽券」にこだわりません。笑って受け流す男性が多いかも。以前、髪がお尻にとどくほどの
超ロン毛の友人に、どんなトリートメントを使っているのかきいたことがあります。その友人は、都会に住む40代後半のナヴァホ男性。私の髪は紫外線と硬水で傷んできていたのに、彼の髪は
しっとりツヤツヤだったから。
その答えは
「ばっかげてるぅ。シャンプーしか使わないよ!」
"Oh, silly. I just use shampoo!"
男性用の
リンスのいらないシャンプー。
安いけれど、あなどれません。
いったい何が成分として使われているのでしょう?