これは、メサ頂上にある未発掘遺跡、
ピニャスコ・ブランコ Penasco Blancoに通じる道にあった岩絵です。歩き始めてから40分ぐらいの地点なので、アクセスの良い場所。たくさんの人の目にふれてきたことでしょう。ポップで元気のいいモチーフは、
チャコ・キャニオンで見た岩絵の中でも
前衛芸術的。一度に描かれたのではなく、何年もかけて少しずつ絵が加えられていったようです。この岩絵に集ったアナサジの人々は、メディスン・マンの語る神話を聞きながら、祖先がたどった
長く遠い道のりに思いを馳せたのでしょうか。
気になったのは
落書きです。上部の中央に薄く「BEN」という文字が。その下には濃く「T」で始まるアルファベット、そして続く文字を消した
乱暴な削り跡がくっきりと残っています。岩絵の中央には薄く「F」で始まるアルファベットが刻まれています。岩絵の右側、唐草模様みたいな絵の右横には「BOX」。左の四角い愛嬌のあるロボットみたいな絵には、
ホームベース型の落書きが重なっています。このような
心ない行為を取り締まる術がないため、Pinasco Blanco Trailは閉鎖が検討されているのだそうです。う〜ん...残念ですね。毎年でも訪れたいぐらいの素敵なトレイルなのに。岩絵の上に刻まれた落書きを消す方法はありません。岩絵は
人類共通の文化遺産。できるだけ
自然な姿で後世に伝えていきたいものです。