Chaco Canyonの長距離トレイルは、
危険がいっぱいです。特に
高所恐怖症の人や
雷が苦手な人にはお薦めできません。コースによっては
「危険承諾書」にサインをしなければなりません。まりんは閉鎖の可能性がある
「長距離トレイル=危険コース」2つにチャレンジしましたが、どちらもメサの頂上を歩くものでした。それぞれ6、7時間かかる8キロと10キロあまりの難関コースです。
コースの危険性を説明した3枚綴りの用紙があり、オジリナルは国立公園にわたすもの、2枚目は自家用車の中に残すもの、3枚目は自分で携帯するものとなっていました。もちろん、まりんの装備は万全。そのような安心感から、軽い気持ちでサインをしてチャレンジしましたが、そのリスクを理解するまでに時間はかかりませんでした。まず、
Pueblo Bonitoの鳥瞰図写真を撮影した場所ですが、
写真中央のメサの頂上。セーフティ・ネットも何もないので、前に踏み出しすぎると崖から落ちてしまいます。Pueblo Bonitoが右側下方に小さく、黒っぽく見えています。メサの高さを感じていただけるでしょうか。
場所によってはツルツルの砂岩を歩き、足を滑らせたら真っ逆さま...というようなルートを通っていきます。まりんは下を見ないよう、ひたすら前だけを見て前進しました。下の写真、気分だけでもと思いアップします。写真では、うまく遠近があらわれないですね。かなりの高度があります。この場所、登るのは必死だったので怖さを感じませんでしたが、降りるときには泣きかけました。ちょうど、雨が降り雷が鳴りだしたので、恐怖感はピーク。メサの上は、しばしば落雷があります。さあ、どうする? 残るルートは2時間ほど。「岩陰に隠れて夜を明かす」「金属機器を捨てて先に進む」「そのまま前進する」... いろいろな選択肢を考えましたが、そのまま前進することにしました。
ふり返ってみると、遺跡に通じる
「泥の道路」から
「自己責任 At Your Own Risk」が伴うものでした。日本では少しでも危険な箇所があれば、そのトレイルを閉鎖してしまいます。でも、それは悪いことではありません。
不必要なリスクは負う必要がないのですから。しかし、その安全な無菌状態に慣れてしまうと、危険を察知して、そのような危機から身を守ろうとする
本能が鈍ってしまう...そのように感じました。まりんのように
「文明化された人間」は、もはや自然の中では暮らせないのでしょうか。まりんが通ったルートは、厳しい自然の中に暮らしたアナサジの人々も通った道。へっぽこ冒険野郎は、このブログを書きながらアナサジの人々の生き方に思いを馳せています。