この写真は、
年輪による年代測定 Dendrochronologyのために、穴があけられた遺跡の木。遺跡に残された木の
年輪幅を、年輪のデータベースにあるサンプルと比較することで
木が伐採された年を特定できるのです。サンプルが採取されたあと、穴は白い樹脂でふさがれています。
年輪は年にひとつ作られます。
木の成長期に適度な降雨があった年は
年輪幅が広くなり、干ばつの年の
年輪幅は狭くなる。このような原理をもとに、気象条件の同じ地域に生息していた特定の種類の木の年輪を調査するわけです。
年輪を読み解くことによって、その木が伐採されるまでの
気候や降雨量がわかるので、その時代に生きた
人々の暮らしをうかがい知ることができますね。ちなみに、年輪気象学によると、アメリカ南西部で1270年頃から30年あまりにわたって、冷夏と干ばつが続いたということです。時代的に、アナサジの人々がこの地を離れた時期と重なるので、チャコ文明は
13世紀末の気象変動を克服できなかったのではないかといわれています。
アメリカ南西部の砂漠は乾燥した気候のため、このように
数百年前の木が
建築当時そのままに保存されています。見たところ、
プエブロ・ボニートの遺跡で目についた ほぼすべての木に、このような穴があけられていました。
かなり充実したデータベースができただろうなぁ...
それにしても、年輪は木を輪切りにして観察するものと思っていたので、ドリル状の穴は意外な発見! これなら、輪切りにするよりも
遺跡への損傷を少なくできますね。